SESエンジニアとして働いている方のなかには、今の現場が「合わない」と感じている方もいるかもしれません。

人間関係、技術や将来的なスキルアップ、業務内容など、その理由はさまざまでしょう。そういった漠然とした不満を抱えたまま働くのは辛いものです。

この記事では、現場が合わないと感じたときにどうすべきか、その対処法を具体的に解説します。そして、将来的には「現場が合わない」という悩みを解決しやすくするためのキャリアの築き方についても考えていきましょう。

SESの現場が合わないと感じたときの対処法

漠然と抱えている「現場が合わない」という感情は、そのままにしておくと精神的な負担となりパフォーマンスの低下にもつながるかもしれません。

まずはその感情を具体的な項目に分解して言語化することが重要です。これにより自身の不満の根本原因を理解し、次に起こすべき行動を考えるきっかけになります。

どのように考えると整理しやすいか、2つのポイントで解説するのでここで確認しておきましょう。

どんな理由で「合わない」と感じるのかを具体化

現場が合わないと感じる理由は人それぞれですが、多くのSESエンジニアが抱える代表的な理由を知っておきましょう。

以下に列挙したので、自分に当てはまるものはないか自己分析の参考にしてみましょう。

  • 人間関係:客先のメンバーやチームリーダーとコミュニケーションが円滑にとれず、精神的に疲れてしまう。
  • スキル:自分がもつスキルと求められるスキルが合わず、十分に能力を発揮できない。
  • 業務内容:興味のない業務や単調な作業が多く、スキルアップにつながらないと感じる。
  • 評価制度:自分の貢献が正当に評価されていないと感じる。

感情的な不満ではなく、具体的な改善点を整理する

単に「現場が嫌だ」という感情的な不満を抱えたままでは、次のステップへ進むことはできません。不満の根本原因が分かったら、それを次に求める「前向きな希望」へと変換してみましょう。

  • 「人間関係が合わない」→「コミュニケーションが活発で、お互いを尊重し合えるチームで働きたい」
  • 「技術スタックがミスマッチ」→「新しい技術に挑戦できる現場に行きたい」
  • 「評価が不明瞭」→「自分の頑張りが正当に評価される仕組みがある会社で働きたい」

このように感情的な不満を具体的な改善点に置き換えることで、次に目指すべき現場の条件が明確になります。

会社のサポート体制を活用する

「現場が合わない」という悩みを抱えているのは、自分一人だけではありません。所属しているSES企業は、そういったエンジニアの悩みを解決するためのサポート体制を整えていることがほとんどです。

例えばキャリアコンサルタントやメンター制度、定期的な面談などを活用することで、営業担当者以外の視点からもアドバイスをもらえるかもしれません。多くの場合、会社側はエンジニアの悩みに気づかないことが多いため、こちらから積極的に相談することが大切です。

会社のサポート体制を最大限に利用することで、一人で悩むことなく解決策を見つけることができるでしょう。

メンターや先輩に相談する

会社の上司や営業担当者以外にも、同じSES企業で働く先輩エンジニアや、信頼できるメンターに相談してみるのもおすすめの方法です。彼らは同じような悩みを経験してきたかもしれませんし、自分では気づかない視点からアドバイスをくれる可能性があります。

特に現場での人間関係や技術的な課題については、同じ境遇にある先輩エンジニアだからこそ共感し、実践的な解決策を教えてもらえるかもしれません。日頃から社内の交流会やオンラインコミュニティを活用し、横のつながりを作って相談しやすい環境を築いておくことも重要です。

合わないSES現場から抜け出し次の現場へ移るためのステップ

今の合わないと感じる現場を抜けたいと考えたとき、どのように行動すればいいのでしょうか。

無計画な行動は自社やクライアントとの関係を悪化させ、自身のキャリアに傷をつける可能性があるので注意が必要です。

ここでは円満に案件を離脱するための具体的なステップを順番に沿って解説しているので、確認してみてください。

ステップ1:まず現場が合わないと思うことについて自己分析する

まず現場が合わない理由について自己分析を行いましょう。

『どんな理由で「合わない」と感じるのかを具体化』という項目でも解説したように、感情論ではなく理性で整理することが大切です。

自分が何を求めているのか、何に不満をもっているのかを明確にしておくことで、これ以降のステップで行う営業担当者との相談もスムーズに進みます。

ステップ2:自社の営業担当に状況と心境を相談

現場への不満は、クライアントの担当者ではなく自社の営業担当に相談することがもっとも重要です。

もしいきなりクライアントに「この現場を抜けたいです」と伝えてしまうと、契約上のトラブルに発展する可能性があります。クライアントはあくまで業務の発注元であり、契約上のやり取りは登録しているSES企業を通じて行うのがルールです。

営業担当者には事前に自己分析した内容を伝え、なぜ現場が合わないと感じているのか、次にどのような現場を希望するのかを具体的に共有しましょう。

ステップ3:契約期間を確認し引き継ぎを行う

円満な離脱のためには、今の契約期間を確認し、適切なタイミングで離脱できるよう計画を立てることが大切です。通常、案件の契約は数ヶ月単位で更新されるため、次の更新タイミングで離脱するのが一般的です。

自社の営業担当者と協力し、スムーズな引き継ぎの準備を丁寧に行いましょう。業務内容やシステムの構成をまとめたドキュメントを作成したり、後任へのレクチャーを丁寧に行うことで、会社やクライアントに迷惑をかけずに次のステップへ進めます。

ステップ4:営業と一緒に次の現場を探す

ステップ3では、自社の営業担当にステップ1で言語化した自分の合わなさや、どのような現場であれば良いのかを共有したはずです。

このステップでは、営業担当者と一緒に自分の希望に沿った次の案件を探していきましょう。

このとき、「次に参加したい現場の条件」だけでなく、最終的に目指すキャリアゴールやスキルアップの方向性も具体的に伝えることで、より自分に合った現場を見つけやすくなります。

ステップ5:自身の市場価値を客観的に評価する

案件を円満に離脱し希望に沿った次の現場にアサインされるためには、自分の市場価値を客観的に評価しておくことも重要です。

自身のスキルや経験が、IT業界のトレンドや人材市場でどの程度の価値をもつのかを把握しておくことで、営業担当者との交渉を有利に進めることができます。

例えば、自分のスキルセットでどのような技術領域の案件が豊富にあるのか、想定される年収はどのくらいかなどを事前にリサーチしておきましょう。

これにより、営業担当者から提示された案件が本当に自分に合っているかどうかを判断する基準をもつことができます。

ステップ6:次の現場の情報を調べる

次の現場にアサインされる前に、その現場の情報を徹底的に調べることも大切です。

求人票の情報だけでなく、企業の口コミサイトやSNS、さらにはその企業の技術ブログなどをチェックしてみましょう。これにより、会社の文化やチームの雰囲気、使われている技術スタックなどを事前に把握することができます。

またアサイン前の面談の際には、具体的な業務内容やチーム構成、開発の進め方などについて積極的に質問してみましょう。入念な情報収集を行うことでアサイン後のギャップを最小限に抑え、「また現場が合わない」と感じるリスクを減らすことができます。

漠然とした不安を解消するキャリアプランの立て方

「現場が合わない」という悩みの根底には、エンジニアとしての将来やキャリアへの漠然とした不安があることも少なくありません。この不安を解消するためには、長期的な視点で自分のキャリアを具体的に描き、計画的に行動することが不可欠です。

ここでは、未来を見据えたキャリアプランを立てるための具体的なステップを解説します。

長期的な目標を具体的に設定する

まずは、5年後、10年後に自分がどうなっていたいかを具体的にイメージしてみましょう。「リードエンジニアとしてチームを率いたい」「特定の分野(例:AI、クラウド)の専門家になりたい」「フリーランスとして自由に働きたい」など、できるだけ具体的に目標を言語化することが重要です。

この目標は、スキルアップの方向性や次に参画すべき案件を決める上での指標となります。漠然とした不安の多くは、将来が見えないことによるものです。明確な目標を設定することで未来への道筋が見え、不安は少しずつ解消されていくでしょう。

目標から逆算して「今」やるべきことを決める

長期的な目標が定まったら、そこから逆算して「今」やるべきことを決めましょう。例えば、5年後にリードエンジニアになりたいのであれば、まずは「3年後には中堅エンジニアとしてチームの中心的な役割を担えるようになる」という中間目標を設定します。

そしてそのために「1年後には〇〇の技術を習得する」「半年後には〇〇の資格を取得する」といった、より具体的な行動計画に落とし込んでいきましょう。

そうなると、一見合っていない今の現場でも実りを得ることができるかもしれませんし、居心地がいい現場が実は目標の妨げになっていると気づくかもしれません。

日々の業務をこなすだけでなく、自分の目標達成につながる行動を意識することで、毎日が充実し、モチベーションを高く維持することができます。

定期的にキャリアプランを見直す

キャリアプランは一度立てたら終わりではありません。IT業界は技術の進化が早く、市場の動向も常に変化しています。そのため、定期的に自分のキャリアプランを見直し、修正することが不可欠です。

例えば、半年に一度キャリアプランを見直す日を設けてみましょう。自分の成長度合いや新たに興味をもった技術、市場の変化などを考慮して、目標や行動計画を柔軟に調整します。キャリアプランを定期的に見直すことで、常に時代の最前線に立ち続け、自分にとって最適なキャリアを築いていくことができるでしょう。

スキルアップのための「もくもく会」などのイベントがあれば参加し、そういったキャリアプランを話し合えるエンジニア仲間を見つけるのも有効です。

合わない現場にアサインされることを未然に防ぐための対処法とは

ここまでは、現状の現場への不満を解消する方法をお伝えしてきました。

それができたら次は「合わない」と感じる現場にアサインされないための根本的な解決策も講じましょう。

ここでは、日頃から実践できる対処法と考え方についてご紹介します。

信頼関係を築ける担当営業を見つける

案件を紹介してくれる営業担当者は、あなたのキャリアを左右する重要な存在です。

営業担当者がエンジニアのスキルや希望を深く理解し、適切な案件を提案してくれるかどうかが良い現場と出会うための鍵となります。

同じSES企業であっても営業にも営業力に差はありますし、エンジニアスキルについての理解度や詳しいスキル領域も異なります。

「この営業が紹介してくれる現場は安心だ」と感じる営業を見つけ、日頃からコミュニケーションをとって信頼関係を築いていきましょう。

案件を自分で選べる「自由度」を勝ち取る

合わない現場を「押し付けられる」のではなく、自分で案件を選べる自由度を勝ち取ることが悩みを未然に防ぐ根本的な解決策です。

そのためには、市場価値の高いスキルを身につけ、営業担当者と信頼関係を築く必要があります。

スキルアップして市場価値が高まれば、営業もあなたに合った案件を探しやすくなります。

信頼できる営業がおり案件を選べる会社にする

今の会社で信頼できる営業を見つけたり案件を選ぶ自由度を勝ち取るのが難しいと感じるなら、別のSES企業に登録するのも一つの方法です。

優良なSES企業であれば信頼できる営業がおり、エンジニアが案件を選べるだけの自由度があることがほとんどです。

実際の案件リストを見せてもらえるか、エンジニアのキャリアプランに合わせた案件を提案してもらえるか、などで優良企業を見極めて登録してみましょう。

現職で働きながら案件アサインを待つことができる、フリーランスエンジニア向けのSES企業に登録するのもおすすめです。

悩みを根本からなくすためのセルフマネジメント術

「現場が合わない」という悩みを根本的に解決し、理想のキャリアを築くためには、会社や現場に依存するのではなく、自分自身でキャリアをコントロールするセルフマネジメント能力を身につけることが不可欠です。

ここでは、SESエンジニアとして今後同じ悩みを繰り返さないためのセルフマネジメント術について解説します。

スキルアップの習慣化

市場価値の高いエンジニアは、常に自身のスキルを最新の状態に保っています。新しい技術を積極的に学習したり資格取得に励んだりすることで、自分自身の武器を増やしましょう。

例えば、業務時間外にプログラミングスクールの教材で学習を進めたり、オンラインの技術ブログを定期的にチェックしたりする習慣をつけるなどです。

スキルアップを継続的に行うことで、より良い案件を選べるようになり、不満を抱く現場にアサインされるリスクを減らせます。

ポートフォリオと実績の整理

自身のスキルや経験を客観的に示すためには、ポートフォリオと実績を整理しておくことが有効です。これまでに参画したプロジェクトでどのような役割を担い、どのような成果を出したのかを具体的に言語化しておきましょう。

これにより、次の案件を探す際や転職活動を行う際、別のSES企業に登録する際に、自身の強みを効果的にアピールすることができます。またポートフォリオとして個人的な開発プロジェクトを公開しておくことで、自分のスキルや熱意をアピールする強力な材料にもなります。

業界内外の情報収集を怠らない

SESエンジニアは一つの現場に閉じこもりがちですが、業界内外の情報を積極的に収集することも大切です。技術トレンドや他の企業の働き方、求人動向などを把握しておくことで、自身のキャリアプランをより具体的に描くことができます。

例えば、IT関連のニュースサイトや技術系のSNSアカウントをフォローしたり、勉強会やミートアップに参加したりすることで最新の情報をキャッチアップしましょう。

情報収集を怠らないことで自分自身の市場価値の低下を防ぎ、常に選択肢を増やしておくことができます。

株式会社KAIZEN Tech Agentで現場への不満を理想のキャリアを築くチャンスに変えよう

現場への不満の感情は決してネガティブなものではなく、自身のキャリアを見つめ直す良い機会であると考えることもできます。あなたの希望に寄り添い、本当に「合う」現場を見つけるための支援をしてくれる企業へ切り替えるのもおすすめです。

現場への「合わない」という不満はぜひ、案件を「選べる」SESエンジニアになるチャンスに変えましょう。

私たちKAIZEN Tech Agentも、SES企業として登録してくれたフリーランスエンジニアのみなさんと一緒に仕事をしています。エンジニアのキャリアに向き合い、納得のいく案件で働けるように全力でサポートします。

「案件が合わない」という不満を感じて別の会社への登録を検討しているなら、ぜひ私たちも候補に入れてみてください