SESエンジニアとして働いていると「もっと違う技術に挑戦したい」「スキルアップできる環境に行きたい」と、現場を変えたいという思いを抱くことがあるのではないでしょうか。
しかしそんなとき営業担当に相談しても、「アサイン率が下がるから」と取り合ってもらえず、八方塞がりの状況に陥っている方もいるかもしれません。
この記事では、SESエンジニアが現場を変えたいのに変えられない原因を深掘りし、その上で、今の状況を打破するために具体的にできることを解説します。
SESエンジニアが「現場を変えたい」のに変えられない!その原因は?

「現場を変えたい」という思いは、SESエンジニアであれば一度は抱く感情ではないでしょうか。
しかしその想いがなかなか実現しないのには、いくつかの構造的な原因が存在します。この課題は、決してSESエンジニア個人の問題ではなく、会社や業界全体の構造に起因する要因が大きく影響しているのです。
ここでは、SESエンジニアが「現場を変えたい」と願っても、なかなかそれが叶わない主な原因について確認していきます。
派遣社員と異なり案件が長期化する可能性がある
SESでの働き方は、労働者派遣法における派遣社員とは異なるという点が重要なポイントです。
派遣社員の場合、3年ルール(同一の派遣先企業・同一の部署で働ける期間は原則3年まで)が適用されますが、SESは準委任契約であるため、このルールに縛られません。
そのため一度プロジェクトに参画すると、クライアント企業のニーズやプロジェクトの状況次第では、数年や場合によっては10年以上常駐し続けるケースもあります。
参考:e-Gov法令検索「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律」
営業担当がエンジニアのキャリアやスキルを理解していない
SES企業に所属する営業担当者は、必ずしもIT技術やエンジニアのキャリアパスに詳しいわけではありません。彼らの主な役割は、クライアント企業から案件を受注し、自社のエンジニアをアサインすることです。
そのため、エンジニアのスキルや将来的なキャリアプランを十分に理解しないまま、クライアントの要件に合いそうな案件に機械的にアサインしてしまう可能性があります。
その結果、スキルアップにつながらない案件やエンジニアの志向とミスマッチな現場に送り込まれてしまうことが起こり得ます。
そして「もっと最新技術を扱いたいから現場を変えたい」と伝えても、営業担当がその技術の市場価値や将来性を理解していない場合、話がうまくかみ合わないことがあるのです。
会社側が「アサイン率」を優先している
アサイン率とは、所属するエンジニアがプロジェクトに参画している割合を示す指標であり、これが低いと会社の収益が直接的に減少します。
そのため会社としては、エンジニアの希望よりも「とにかく案件に空きなく参画させる=アサイン率を向上させる」ことを優先する傾向にあります。
エンジニアが「今の現場を変えたい」と伝えても、営業担当が「次の案件が見つかるまでに待機期間があると会社の利益が減る」と考え、積極的に動いてくれないことが起こり得るのです。
会社内でスキルマップやキャリアプランが定められていない
「この現場では自分のスキルが伸びないから変えたい」と主張しても、会社側にその主張を評価し、次につなげるための基準がない場合、その声は無視されてしまいます。
SES企業の中には、「どうエンジニアをキャリアアップさせるか」という明確な思想やモデルが社内にないケースもあるのです。
具体的には、エンジニアの技術レベルを客観的に評価するスキルマップがなかったり、一人ひとりの将来像を描くキャリアプランの制度が確立されていなかったりするケースです。
これらが存在しないと、営業担当者も「現場を変えたい」というエンジニアの要望を、単なるワガママだと捉えてしまう可能性があります。
SESが現場を変えたいと感じたときにできること

「現場を変えたい」という想いが強くなってきたとき、ただ会社に不満を抱くだけでは状況は変わりません。自ら行動を起こすことで現状を打開し、納得のいくキャリアへと舵を切ることができます。
ここでは今の会社に留まりながら、あるいは新しい道も視野に入れながら、具体的に現場を変えるためにできるアクションをいくつかご紹介します。
本当に現場を変えることが自分のためか立ち止まって考えてみる
まずは感情に流されることなく、本当に現場を変えることが自分のキャリアにとって最善の選択なのかを冷静に考えてみましょう。
- 今の現場で得られるものは何か?
- あとどれくらい頑張れば、次のステップに進めるのか?
- この現場でしか得られない経験やスキルはないか?
上記のような視点で現状を客観的に見つめ直す時間を作りましょう。
もしかすると、よく考えたら今の現場に残ったほうが長期的なキャリアプランにとっては良い場合もあるかもしれません。
キャリアプランに必要なスキルマップを用いて交渉する
「現場を変えたい」という要望をただ伝えるだけでは、営業担当者も動いてくれないことが多いのではないでしょうか。そこで、自分が目指すキャリアプランを明確にし、そのために必要なスキルマップを用いて交渉する方法が有効です。
例えば「将来はプロジェクトマネージャーになりたい」というキャリアプランがあるなら、そのために「設計フェーズに関わる経験」「顧客との折衝経験」が必要だと示します。
そして「今の現場ではこれらの経験が積めないので、次の現場でこれらの経験を積みたい」と論理的に交渉するのです。
具体的なスキルマップやキャリアプランを提示することで、単なる「ワガママ」ではなく、「会社の成長にもつながる戦略的な提案」として受け取られやすくなります。
資格取得などでスキルアップして単価に見合った現場を探してもらう
エンジニアの単価は、そのスキルや経験によって決まるのが一般的です。
つまり自分の市場価値を高めて高単価の案件にアサインしてもらうことは、現場を変えるための強力な口実になります。
例えばクラウド技術の需要が高まっているならAWSやAzureの資格を取得したり、セキュリティ関連の資格に挑戦したりするといったスキルアップ方法がおすすめです。
資格を取得することでスキルを客観的に証明できるようになり、会社にとっても「このエンジニアは価値が高いから、もっと高単価な案件に変えよう」というメリットが生まれます。
エンジニアのスキルに詳しい営業に担当してもらうよう依頼する
今担当してもらっている営業担当者が、あなたのスキルやキャリアプランを十分に理解していないと感じるなら、スキルに詳しい別の営業担当者に変更してもらうよう依頼することも一つの手です。
SES企業の中には、元エンジニアが営業を担当しているケースや、特定の技術領域に詳しい営業担当者がいる場合があります。そのような担当者であれば、「現場を変えたい」という要望の背景にある技術的な課題やキャリアの悩みを深く理解してくれる可能性が高まります。
SESエンジニアが現場を変えやすい会社に登録・転職する
もしこれまでの努力が実らず、今の会社ではキャリアプランが実現できないと判断した場合、より良いSES企業に登録・転職することも視野に入れてみましょう。
すべてのSES企業が「アサイン率」を最優先にしているわけではありません。エンジニア一人ひとりのキャリアを真剣に考え、それをサポートする体制が整っている会社も多く存在します。
具体的には、エンジニアが案件を選ぶ主導権を持っている会社や、キャリア支援制度が充実している会社を探してみましょう。
自分のキャリアをコントロールできるかどうかは所属する会社によって大きく変わります。今の会社に固執せず外部に目を向けることで、より良いキャリアパスが見つかるかもしれません。
SESエンジニアが現場を変えやすい会社の特徴

ここでは、エンジニアのキャリアプランに真摯に向き合い、納得のいく働き方をサポートしてくれるSES企業の特徴を具体的にご紹介します。
これらの特徴を参考に、自分が本当に求めている企業像を明確にしていきましょう。
企業選びは今後のキャリアを左右する重要な決断です。目先の案件や給与だけでなく、長期的な視点で企業を評価することが大切です。
エンジニアが納得できるまで案件を選べる体制がある
現場を変えたいのに変えられない一番の原因は、会社が一方的に案件を決めてしまうことです。
一方で、エンジニアのキャリアを尊重してくれる会社はエンジニアが納得できるまで案件を選べる体制を確立している可能性があります。
具体的には、以下の点に注目しましょう。
- 案件の詳細がオープンにされている
- エンジニアの希望を吸い上げる仕組みがある
このような会社は、単に「人を現場に送る」だけでなく「エンジニアのキャリアを一緒に創る」という意識をもっています。
定期的な面談がある
SESエンジニアは、常駐先のクライアント企業で働くため、ほかのSES企業の担当者と関わる機会が少なくなりがちです。
そのため、SESエンジニアはキャリアや悩みを相談する相手がいない状況に陥ることがあります。
現場を変えやすい会社は、この課題を解決するため、定期的に面談を実施する体制を整えています。
- 定期的なキャリア状況のヒアリング
- 常駐先の上長や業務上の上長との棲み分け
このような体制が整っている会社は、エンジニアのキャリアを「会社全体の成長の一部」として捉えて積極的に関与してくれるため、安心して働くことができます。
株式会社KAIZEN Tech Agentで「我慢しなくていい」エンジニアキャリアを築く
現場を変えたいという気持ちは、エンジニアとしての健全な成長意欲の表れです。
この記事では、SESエンジニアが「現場を変えたい」と感じたときに、なぜそれが難しいのか、そしてその状況を打破するためにどうすれば良いのかを解説しました。
現場を変えられない原因は、案件の長期化、営業担当のスキル理解不足、会社都合のアサイン率優先など、様々な要因が絡み合っています。
あなたのエンジニアとしての価値は、登録するSES企業がどれだけあなたのキャリアを尊重し、サポートしてくれるかによって大きく変わります。
私たちKAIZEN Tech AgentもSES企業として登録してくれたフリーランスエンジニアのみなさんと一緒に仕事をしています。そして私たちは、あなたのキャリアを何よりも大切に考え、納得のいく現場で働けるよう全力でサポートします。
現場を変えにくいと今の会社で悩んでいるなら、ぜひ一度ご連絡ください。
