Rubyは、日本発のプログラミング言語であり、特にRuby on Railsというフレームワークを通じて、Webアプリケーションやスタートアップ、SaaS開発の分野で根強い人気をもっています。
高単価案件やリモートワークが可能な案件が増えており、Rubyエンジニアにとってフリーランスとして独立したいと感じる方もいるかもしれません。
本記事ではそんなエンジニアの型に向け、フリーランスのRubyエンジニアとしての仕事内容から、高単価案件を獲得するための具体的な戦略、そして安定して仕事を継続していくための方法まで解説します。
Rubyのフリーランスエンジニアとは

Rubyのフリーランスエンジニアは、その言語特性とRuby on Railsという強力なフレームワークを軸に Webアプリケーション開発の即戦力として活動しています。
ここでは、そんなRubyのフリーランスエンジニアの定義や特徴、そして案件を受注する際の根幹となる契約形態について解説します。
Rubyのフリーランスエンジニアとは?定義と特徴
Rubyは、1995年にまつもとゆきひろ氏が開発した日本発のオブジェクト指向スクリプト言語であり、すべてのデータをオブジェクトとして扱うという特徴をもっています。Rubyのフリーランスエンジニアは、この言語を使って個人として請け負います。
Rubyフリーランスエンジニアの主な特徴は以下の通りです。
- 言語特性と主要フレームワーク:RubyのDSL(ドメイン固有言語)構築のしやすさと、生産性の高さを活かした開発を行う。主戦場はRuby on Railsを活用した開発が多い。
- 契約形態:企業との契約形態は、労働力提供を目的とする準委任契約や、特定の成果物の納品を目的とする業務委託(請負契約)が中心となる。
- 案件の主な需要先:開発スピードが求められるスタートアップや、SaaS(Software as a Service)企業でのバックエンド開発での需要が多い。
Rubyのフリーランスエンジニアは、Web系開発の即戦力として、高単価での案件参画が期待できるポジションです。
フリーランスの主な契約形態(準委任/業務委託)
フリーランスとして働く上で、案件を受注する際の契約形態の理解は必須です。特に、準委任契約と請負契約の違いは自身の業務範囲や責任の所在を根本的に左右します。
フリーランスが理解すべき契約形態の違いは以下の通りです。
<準委任契約と請負契約の違い>
- 契約の目的:準委任契約は労働力提供を目的とし、請負契約は特定の成果物の完成を目的とする。
- 報酬の支払い条件:準委任契約は契約期間内の業務遂行(工数)に対して報酬が支払われる。請負契約は成果物の納品によって報酬が支払われる。
- 成果物とリスクの所在:準委任契約では成果物の完成義務はないが、請負契約では瑕疵担保責任など、成果物の品質に関するリスクをもつことになる。
<指揮命令権とリスクの懸念>
- 指揮命令権の有無と偽装請負のリスク:フリーランスとの契約では、発注元には指揮命令権がない。指揮命令下に置かれるなど、実態が契約形態と異なる場合は、偽装請負や労働者派遣法違反の懸念がある。
- 契約形態の誤解によるリスク:準委任契約と請負契約の違いを十分に理解せずに進めると、期待した成果が得られない、または不当な責任を負わされるリスクが生じてしまう。
自分の業務内容がどの契約形態に該当するかを理解し、発注元との認識を一致させておくことが、トラブルを避けるもっとも重要な予防策です。
Rubyのフリーランスエンジニアの仕事内容

Rubyのフリーランスエンジニアがもつ強みは、Ruby on Railsを軸としたWeb系開発における生産性の高さにあります。
この生産性の高さを活かし、スタートアップやSaaS企業のさまざまな案件への参画が期待できます。
業務別に見るRubyエンジニアの仕事内容
Rubyエンジニアの仕事内容は、単にアプリ開発だけに限らず幅広く多岐にわたります。
特にフリーランスとしては、以下のようなさまざまな業務を担うことができる点は覚えておきましょう。
| 分類 | 主な業務内容 | 使用技術・ツール |
| Webアプリ開発 | Ruby on Rails を使った業務システム・EC・SaaS開発 | Rails / PostgreSQL / AWS / GitHub |
| API開発 | スマホアプリや他システム連携用のAPI設計・構築 | Sinatra / Grape / JSON / Swagger |
| テスト・運用保守 | 既存Railsアプリのテスト自動化・不具合修正 | RSpec / CircleCI / Docker |
| インフラ構築 | 開発環境・本番環境の構築・デプロイ支援 | AWS / Docker / Terraform |
| 技術顧問・メンター業務 | スタートアップや社内開発チームへの技術支援 | Slack / Notion / Zoom |
どれか一つの専門家を目指して高単価案件を獲得することを目指すのも良いでしょうし、さまざまな業務ができる万能さで選ばれるエンジニアになるのも良いでしょう。
Rubyを使った案件の特徴
Rubyを使った案件は、その開発スピードの速さから、Web系バックエンドが主軸となります。特に、プロダクトの初期段階や仮説検証を迅速に行いたい企業から高い需要があります。
Rubyを使った案件の大きな特徴は以下の通りです。
- Ruby on Railsによる業務システム、SaaS、ECサイト構築、SinatraやHanamiを使った軽量なAPI開発など、Web系のサーバーサイドが中心となる。
- 開発スピードが速い特性を活かし、MVP(仮説検証)フェーズの案件にもっとも向いている。
- リソースが限られたなかで迅速なプロダクト開発を目指す、スタートアップやベンチャー企業での採用が多い。
Rubyのスキルは、Webサービスの立ち上げや高速な機能追加を実現したい企業にとって不可欠なものとなっています。
Rubyが活用される分野5選

RubyはWebアプリケーション開発だけではなく、自動化ツールや品質保証などさまざまな分野で高いポテンシャルをもっています。
自分のスキルを単価アップにつなげるためにも、これらの活用分野を広く知っておくことが重要です。どのような分野で活用されているか、ここで確認しておきましょう。
Webアプリ MVP(仮説検証)開発
WebアプリのMVP(仮説検証)開発は、Ruby on Railsが得意とする分野です。高速にプロトタイプを作成し、市場の反応を迅速に検証したいというニーズにマッチします。
MVP開発におけるRubyの強みは以下の通りです。
- 高速なプロトタイプ構築:Railsを使用すれば、モデル作成からビュー生成までを高速に構築することが可能。
- 市場検証への適性:開発スピードの速さを活かし、スタートアップやSaaS企業でのMVP開発や市場の仮説検証に適している。
- フルスタックな機能:バックエンドからフロントエンドまで、すべてをRails単体でもつことができ、開発効率を高める。
API・マイクロサービス
近年、大規模なWebサービスを機能ごとに分割するマイクロサービス化の需要が増えています。Rubyでは、SinatraやHanamiといった軽量なフレームワークを用いてこのAPIやマイクロサービスの実装が得意です。
API・マイクロサービス開発でRubyが活用される理由は以下の通りです。
- SinatraやHanamiを用いて軽量なAPIを実装し、特定の機能に特化したサービスを構築できる。
- サービス間の連携を疎に保ちやすいマイクロサービス化にも適しており、柔軟なシステム構築が可能。
- APIやマイクロサービス開発を担うチームは少人数であることが多く、比較的学習コストが低いRubyが合っている。
テスト自動化・品質保証
継続的なデリバリーを実現し、コードの品質を保つ上で、テスト自動化と品質保証は不可欠です。
Rubyでは、RSpecやCapybaraを使い、単体テストから結合テスト、E2Eテストまで、自動テスト環境を構築できます。
安定した品質の担保は、クライアントやユーザーからの信頼を得るためのもっとも重要な要素であるといえます。そのため、テスト部門を独自に抱えている企業も存在しています。そういった部門でもRubyエンジニアの需要があるのです。
自動化・CLIツール開発
開発プロセスやデータ処理を自動化するコマンドラインツール(CLIツール)の開発も、Rubyの得意とする分野です。RakeやThorといったツールを活用することで、定型業務の効率化を実現できます。
繰り返し行われる作業や定型業務を自動化することは、開発チーム全体の効率を向上させることにつながるでしょう。そのため、開発効率を高めるための改善提案と実装ができるRubyエンジニアは高く評価され、活躍の場があるのです。
静的サイト生成・ブログ構築
Jekyllなどの静的サイトジェネレーターはRubyで動作し、Markdownから高速かつ安全に静的サイトを自動生成できます。これは、個人ブログや技術サイトの構築に適した手法です。
静的サイト生成におけるRubyの活用理由は以下の通りです。
- Jekyllの使用:Jekyllを使用し、MarkdownからHTMLへと静的サイトを自動生成できる。
- 個人ブログや技術サイトの構築:高速かつセキュリティの高い個人ブログや技術サイトの構築に適している。
- シンプルな運用:データベースをもたないため、運用がシンプルになり、サーバー負荷も低い。
依頼された案件に対応するだけでなく、Rubyのフリーランスエンジニアが自分で技術ブログを構築し、継続的に技術情報を発信することは案件獲得にもつながる有効な手段です。
Rubyのフリーランスエンジニアとして働くメリット

Rubyのフリーランスエンジニアとして働くことで、報酬水準の高さや柔軟な働き方など、さまざまなメリットを享受できます。これらのメリットは、自分のキャリアや生活の質を向上させる上で重要な要素となります。
まずはどのようなメリットがあるか、いま一度確認しておきましょう。
高単価・高年収が期待できる
Rubyエンジニアは、平均月額単価が高いという特徴があります。これは、Rubyがもつ高い生産性と、スタートアップやSaaSといった成長産業での需要に起因しています。
PR TIMESの調査によると、Rubyエンジニアの平均月額単価は80.5万円、年収は966万円と高水準であり、特にRuby on Railsを活用できるエンジニアの単価はさらに高くなる傾向もあります。
専門性と即戦力としての柔軟性をもつことで、報酬水準はさらに上昇する可能性をもっています。
参考:PR TIMES「【年収966万円】Rubyエンジニア案件2025年最新|フリーランス調査【フリーランスボード調べ】」
リモート比率が高く働き方に自由度がある
Ruby案件は、リモートワークの比率が高いことも大きな特徴です。これは、Webサービス開発という業務特性と、スタートアップの柔軟な働き方を推奨する企業文化に起因しています。
前述の調査によれば、Ruby案件全体でフルリモートが50%、一部リモートが43.5%と、合計93.5%がリモート対応可能とのことです。
そのため副業としても始めやすく、フリーランスエンジニアとしての第一歩としても向いています。
時間と場所の制約から解放され、自分の裁量で仕事を進められることは大きなメリットです。
日本語コミュニティが多いため学習コストを軽減できる
Rubyは日本発の言語であるため、日本語の学習資料や技術コミュニティが豊富に存在します。新しい技術の学習コストがほかの言語に比べて低く、効率的にスキルアップを図ることができます。
日本語コミュニティがもたらすメリットは以下の通りです。
- 日本語資料の豊富さ:日本発の言語であるため、公式ドキュメントや技術ブログなど、日本語の資料が豊富に存在する。
- コミュニティの活発さ:日本国内にRubyやRailsの技術コミュニティが多数あり、情報交換や質問が容易である。
- 生産性の高さ:gemを使ったライブラリの追加が簡単で、DSLを構築しやすく、開発の生産性が高い。
技術のキャッチアップを効率的に行えることは、フリーランスとしての継続的な成長を支える土台となります。
Rubyのフリーランスエンジニアとして働くデメリット

Rubyフリーランスにはさまざまなメリットがある一方で、事前に理解しておくべき一定のデメリットも存在します。これらの課題を把握し、適切な対策を講じることが安定した案件獲得につながります。
ここでは、Rubyのフリーランスエンジニアがもつデメリットを解説します。
案件数は多くない
Rubyの案件は、JavaやJavaScriptといった大規模な言語と比べると市場全体のシェアは高くありません。そのため、案件獲得の競争が激しくなる可能性ももっています。
案件数が多くないことがもたらす課題は以下の通りです。
- 市場シェアの制約:Rubyの案件は市場全体の4.70%程度であり、案件数ランキングでは7位程度に留まる。
- 案件獲得競争の激化:JavaやJavaScriptと比べると案件数が少ないため、スキルの高いエンジニアのあいだで案件獲得の競争が激しくなる可能性がある。
- 案件の選択肢:地域や業界によっては、案件の選択肢が限られる可能性ももっている。
安定した案件獲得のためには、複数のエージェントを活用したり、スキルの差別化を図ったりする戦略が不可欠です。
技術トレンドの変化が早く常にキャッチアップが必要
Rails7でHotwire/Turboが導入されるなど、フレームワークの進化が速いため、常に新しい技術のキャッチアップが求められます。この継続的な学習が負担となる可能性ももっています。
また、RSpec、Sinatra、Docker、Kubernetes、AWSなどの関連技術の習得も複合的におこなっていなければなりません。
市場価値を維持するためには、技術ブログやドキュメントを常にチェックし、新しい技術を積極的に採用していく姿勢が重要です。
とはいえ、これはRubyに限らずほかの言語でもある程度は発生している問題です。銀行や官公庁など固定化したレガシーシステムに精通することが求められるわけではない現場で働く場合、ほとんどのエンジニアが悩まされる問題ともいえるでしょう。
日本語コミュニティに偏りがち
Rubyは日本発の言語であり、日本語情報が豊富であるというメリットがある反面、日本語のコミュニティに偏っているという側面は問題です。
グローバル案件や海外クライアントとのプロジェクトでは英語でのコミュニケーションが必須となりますが、先方のエンジニアなどと会話する際に日本語の情報だけではコミュニケーション不足に陥ってしまいます。
また最新の技術情報やトレンド、新しい概念などは英語のドキュメントから発信されることが多く、英語の読解力が求められます。日本語のコミュニティで学べるのはありがたいことである半面、英語力が疎かになることは高収入を狙えるエンジニアになるための障壁になってしまいます。
特に海外案件は高単価なものが多く、日本国内ではなかなか到達できない単位の年収も実現可能です。海外を目指すのであれば技術力に加えて英語力を磨くことが重要です。
Rubyのフリーランスエンジニアとして高単価案件を獲得するには

Rubyのフリーランスエンジニアとして安定した高単価案件を継続的に獲得するためには、効率的な案件獲得チャネルの活用と自分のスキルを市場にアピールする戦略が必要です。
どのような方法があるか解説していきます。
高単価案件に強いフリーランスエージェントを活用する
案件獲得の競争が激しいなかで、効率的に高単価案件やリモート案件を探すにはフリーランス向けのエージェント活用が有効な手段です。複数のエージェントに登録し、条件を比較することが成功の鍵となります。
報酬交渉や契約書の作成といった煩雑な事務作業を代行してもらえるエージェントに依頼すれば、開発に集中できるという利点もあります。
信頼できるエージェントを見つけられれば、高単価かつ安定した案件獲得の土台となるでしょう。
ポートフォリオとSNSを活用して直接依頼を受ける
エージェントを介さずに直接依頼を受けることができれば、仲介手数料を削減し、より高単価での受注が可能となります。そのためには、GitHubやブログといった外部での活動が重要です。
- ポートフォリオの公開
- SNSでの情報発信
- 技術ブログでの発信
上記を行って市場からの評価を高める活動は常に行っておきましょう。
また、これらの直接依頼のための活動とエージェントへの依頼を平行して行うことでより案件獲得を安定させることができます。加えてポートフォリオをまとめることはエージェントへの依頼にも役立つため、これらはぜひ行っておくことがおすすめです。
【副業向け】短時間稼働案件の探し方
フリーランスとしての一歩を踏み出す前に、まずは副業で試してみるというのもおすすめです。
その際には短時間稼働の案件を探すことが効率的です。短時間稼働の案件はリモート可のものが多く、副業に向いているからです。
副業向けの案件探しのポイントは以下の通りです。
- 週1日から2日といった短時間稼働の案件を提供するサービスを活用する。
- 出勤を伴わないリモート可の案件で本業と両立する。
- 副業を通じて新しい技術や開発環境を経験し、スキルアップの機会につなげる。
まずは副業から始め、段階的にフリーランスとして独立するという方法がおすすめです。そのためには、まずはエージェントなど自分の時間を使わずに済む方法で短時間案件を探してみましょう。
Rubyフリーランスとして一歩踏み出そう
Rubyのフリーランスエンジニアは、高水準な報酬が期待できるため魅力的な働き方といえます。
自分のスキルと裁量で高単価と自由な働き方を両立できるため、気になる方は挑戦してみても良いでしょう。
もし記事中でも解説していたエージェントを探しているなら、ぜひ私たちKAIZEN Tech Agentもご検討ください。フリーランスエンジニアのみなさんのキャリアを大切に考え、納得のいく案件で働けるようにサポートします。
Rubyのフリーランスエンジニアになって活躍したい方、いずれ独立を考えている方は、ぜひ私たちへ一度ご連絡ください。
