SES面談に挑む際、「落ちたらどうしよう」と不安を感じる人は少なくありません。技術力だけでなく、受け答えや態度、希望条件の伝え方など、評価されるポイントが多岐にわたるため、準備不足だと不合格につながるおそれもあります。

この記事では、SES面談で不合格になりやすい原因を整理し、自己PRや質問への答え方、態度や条件提示の工夫など、合格率を高めるための具体的なポイントを紹介します。

SES面談の目的と法的な位置づけ

SES面談は、一般的な採用面接とは目的が異なります。企業に採用されるかどうかを判断する場ではなく、エンジニアのスキルや経験が案件に合うかどうかを確認する場として位置づけられています。つまり、発注側とエンジニア側が「一緒に働けるか」を見極めるための打ち合わせに近い性質を持つのです。

さらに法的には、SES契約は労働者派遣とは異なり「請負契約・準委任契約」として扱われます。そのため、案件面談は採用試験ではなく「契約前の条件確認」の位置づけです。目的を理解して臨めば、不要な緊張を避けつつ、相手が求めている視点を意識した準備ができるでしょう。

SES面談の目的と評価ポイント

SES面談は、エンジニアが案件に適した人材かどうかを確認するための打ち合わせです。具体的には、以下の観点が評価されます。

  • スキルや経験:担当可能な業務領域、得意分野、使用可能な言語やツール
  • コミュニケーション力:報連相が適切に行えるか
  • 現場との相性:チームの雰囲気や文化に適応できるか
  • 信頼性:職務経歴やスキルシートの記載が実際の経験や能力と一致しているか

SES面談では、スキルシートに記載された内容が実際の経験や能力と一致しているかを確認し、現場に適応できるかを見極めることが中心です。その目的を理解して臨めば、採用面接と混同して余計な緊張を抱く必要はありません。

派遣法第26条第7項による事前面接の禁止

労働者派遣契約では、派遣先企業が労働者を事前に面接することは、派遣法第26条第7項により禁止されています。採用試験のような選考を行うと、派遣先が雇用主とみなされ、違法派遣に該当する恐れがあるためです。

これに対して、SES面談は「請負契約・準委任契約」に基づくものであり、採用試験ではなく契約条件の確認として行われます。そのため法律上は問題ありません。ただし、形式が面接に似ているため、派遣と混同されやすい点には注意が必要です。

労働者派遣契約とSES契約の比較を一覧にまとめました。

項目 労働者派遣契約 SES契約(準委任契約)
法的位置づけ 労働者派遣法で規制 民法上の準委任契約
面接の扱い 事前面接は禁止(派遣法第26条第7項) 案件マッチング確認のための事前打ち合わせ
目的 派遣先は労働者を直接採用する立場にない 案件に必要なスキルや経験を確認し、契約の可否を判断
違法リスク 事前面接を行うと「偽装請負」や「違法派遣」の可能性 契約上は合法。ただし形式が面接に似るため誤解されやすい

労働者派遣契約では法律で禁止されている事前面接も、SES面談は「契約条件の確認」として行われるため合法とされています。形式は似ていますが、目的と法的根拠は明確に異なる点を理解しておきましょう。

参照:「派遣労働者」として働くためのチェックリスト|具体的な派遣先が決まりそうです。|厚生労働省

面談でよく聞かれる質問と答え方のポイント

SES面談では、技術力の確認に加えて、これまでの経験整理やコミュニケーションの姿勢も評価対象となります。事前に「よく聞かれる質問」と「答え方のコツ」を把握しておくことが、不合格を避けるために有効です。

よく聞かれる質問 答え方のコツ
これまでのスキルや経験は? ・担当業務や役割、使用した技術を簡潔に説明する
・具体的なプロジェクト名や成果を添えると説得力が増す
大変だったことは? 課題や困難をどう乗り越えたか、工夫した点を具体的に伝える
例:「短い納期でも品質を保つためにテスト体制を工夫した」
今後やりたいことは? ・将来的に挑戦したい技術分野やキャリア像を述べる
・案件内容と関連させて話すと好印象
分からない質問が出た場合 ・無理に答えず「もう一度ご説明いただけますか」と確認する
・理解してから誠実に答える姿勢が評価される

よく聞かれる質問を整理しておけば、面談前に「聞かれたらこう答える」とイメージしやすく、緊張の軽減にもつながります。

SES面談では案件参画前の条件確認が行われるため、答え方に正解があるというよりは、自分の経験を相手が理解しやすい形で伝えられるかが評価のポイントになります。

SES面談で落ちる主な理由

SES面談では、技術力が十分であっても、受け答えや態度、希望条件の伝え方によって不合格になるケースがあります。なぜ落ちてしまうのかを理解しておくと、同じ失敗を避けられるようになるでしょう。

ここでは、典型的な失敗パターンを整理し、改善の方向性を示します。

  • 質問の意図を理解せず外れた回答をしてしまう
  • 伝え方やコミュニケーションがうまくいかない
  • 態度や希望条件に問題がある

質問の意図を理解せず的外れな回答をしてしまう

SES面談でよくある失敗の一つが、聞かれた内容とずれた回答をしてしまう対応です。論点が外れたまま話を進めてしまうと、「理解力が不足している」「柔軟な対応ができない」と評価されかねません。

特に、最後まで質問を聞かずに答え始めたり、曖昧なまま話を展開してしまうと、評価が下がる要因になります。

改善するためには、以下の点を意識するとよいでしょう。

  • 質問を最後まで聞き、意図を正確に把握する
  • 事前にスキルや経験を整理し、質問に沿った回答を準備する
  • 一呼吸おいて、落ち着いた受け答えを意識する

伝え方やコミュニケーションがうまくいかない

スキルが十分にあっても、説明が冗長で要点がまとまらない場合、評価は下がります。専門用語ばかりを並べると「現場でどう活かせるか」が伝わりにくくなるでしょう。

SES面談は、単なる技術確認だけでなく「一緒に働くイメージ」を持ってもらう場でもあります。そのため、冗長な説明や曖昧な受け答えは「コミュニケーションに難がある」と受け取られ、不合格の要因になりやすいのです。

改善のポイントは以下の通りです。

  • 経歴やスキルは簡潔に説明する
  • 「結論→理由→具体例」の順で整理する
  • 相手が知りたい内容を優先し、理解しやすい表現を心がける

態度や希望条件に問題がある

SES面談では、第一印象や立ち居振る舞いも評価の対象になります。やる気が見えない態度や希望条件の提示が高すぎると、不合格につながるケースが多いです。

  • やる気の欠如やマナー不足:現場に溶け込めない印象を与える
  • 希望単価や役割が高すぎる:条件に見合わないと判断されやすい
  • 候補者が複数いる場合:スキルが同程度なら「人柄や前向きさ」で差がつく

問題を改善するためには、以下を意識しましょう。

  • 積極的に参加する姿勢を示す
  • 希望条件は市場水準や自分のスキルに合わせて調整する
  • 礼儀や基本的なマナーを守り、信頼感を与える

これらを踏まえれば、技術力に加えて「一緒に働きたい」と思わせる印象を残せるため、不合格を避けやすくなります。面談はスキル証明の場であると同時に、人柄や協調性を伝えるチャンスでもある点を意識して臨みましょう。

SES面談に備えるための準備ポイント

SES面談は、事前準備によって結果が大きく左右されます。十分な準備をしておけば、自信を持って臨み、余計な不安を和らげられるでしょう。事前準備は合格率を高めるだけでなく、キャリア形成の基盤にもなります。

限られた時間で自分のスキルや経験を的確に伝えるために、以下の準備をしておきましょう。

  • 自己PRと経歴を整理しておく
  • 模擬面談で本番をシミュレーションする
  • 企業や案件の情報を事前に調べる

自己PRと経歴を整理しておく

SES面談では、短い時間の中で自分のスキルや経験を的確に伝える力が求められます。準備不足のまま臨むと評価が下がりやすいので、事前に自己PRと経歴を整理しておきましょう。

企業やクライアントが確認したいのは「どの現場で何を担当し、どんな成果を上げたか」という点です。定量的な成果や具体的な事例を交えて説明できれば、説得力が高まります。

準備のポイントは、次の通りです。

  • プロジェクト名、担当した役割、使用した技術を箇条書きにまとめる
  • よく聞かれる質問を想定し、回答のテンプレートを用意する
  • 実績が少ない場合は「学習意欲」や「チーム貢献の姿勢」で補足し、ポテンシャルをアピールする

このように事前準備を徹底すれば、本番で話がぶれず、自信を持って面談に臨めます。

模擬面談で本番をシミュレーションする

SES面談は独特の質問や雰囲気があり、慣れていないと緊張で実力を十分に発揮できない場合があります。事前に模擬面談を行い、流れに慣れておくと安心です。

具体的には、次のような準備が有効です。

  • エージェントや先輩に協力を依頼し、本番に近い形で練習する
  • 想定外の質問を受ける練習を重ね、的外れな回答を防ぐ
  • 話し方の癖や伝わりにくい部分を指摘してもらい、改善につなげる

模擬面談を繰り返すと、回答の精度が高まり、自信を持って面談に臨めるようになります。事前にこうした練習をしておけば、本番で落ち着いて受け答えができるはずです。

企業や案件の情報を事前に調べる

SES面談では、スキルを提示するだけでなく、応募先の企業や案件を理解しているかどうかも評価の対象です。事前調査を十分に行えば、回答が具体的になり、企業側に「準備が整っている」と伝わります。

特に自社サービスを展開している契約先や、専門性の高い業界の案件では、業界動向や競合企業に触れられると評価が上がりやすいです。応募先企業に合わせた下調べが差を生むポイントです。

調べておきたい主な観点は、以下の通りです。

  • クライアント企業の事業内容や案件の目的を把握する
  • 案件で求められるスキルや役割を整理しておく
  • 不安や疑問点を明確にし、面談で質問できるよう準備する

丁寧に調査しておくと、面談の受け答えに具体性が加わり、マッチングの精度を高められます。

SES面談の不合格を改善につなげる方法

SES面談で不合格になると、気持ちが落ち込んでしまう人も少なくありません。しかし原因を振り返り改善点を明確にすれば、次のチャンスにつなげられます。大切なのは、失敗を終わりにせず「学び」に変える前向きな姿勢です。

ここでは、SES面談の不合格を改善につなげる方法を解説します。

  • 不合格の原因を客観的に分析する
  • 希望条件とスキルのバランスを見直す
  • 新しい案件や働き方を探してチャンスを広げる

不合格の原因を客観的に分析する

SES面談で落ちてしまった場合、まずは冷静に原因を振り返ることが大切です。答え方や態度など、自分では気づきにくい部分が評価を下げているケースも少なくありません。改善点を整理しておけば、次回の面談で同じ失敗を繰り返さずに済みます。

  • 面談内容を振り返り、回答や態度に問題がなかったか確認する
  • エージェントに相談し、自分では気づかなかった課題を把握する
  • 改善点をメモして、次回の面談準備に反映する

こうした分析を重ねると、単なる失敗で終わらせずに自己理解を深められ、今後のキャリア選択にも役立ちます。

希望条件とスキルのバランスを見直す

SES面談では、提示する希望条件が現実とかけ離れていると「条件に見合わない」と判断され、不合格につながる場合があります。そこで、自分のスキルや経験と希望条件の釣り合いを見直し、必要に応じて調整する姿勢が重要です。

  • 希望単価や役割が、自分の経験やスキルに対して妥当か再評価する
  • 条件を現実的に調整し、同時にスキルアップの計画を立てる
  • 学習や資格取得を通して、市場価値を高める

条件とスキルをバランスよく整理できれば、契約先に「長期的に活躍できる人材」という印象を与えられます。調整とスキル向上を繰り返すうちに、キャリアの方向性がより明確になり、面談での自信にもつながるはずです。

新しい案件や働き方を探してチャンスを広げる

SES面談に落ちた経験は、視野を広げるきっかけにもなります。案件の幅を広げたり、SES以外の選択肢を検討したりすれば、新しいキャリアの可能性を見つけやすくなるでしょう。

  • エージェントを通じて、新たな案件へを継続的に探す
  • 自社開発や受託開発、フリーランスなど別の働き方も検討する
  • 新しい挑戦を重ね、自信と前向きな姿勢を次の面談で示す

案件や働き方を柔軟に見直せば、キャリアの幅が広がり、チャンスをつかみやすくなります。不合格の経験をキャリアチェンジや成長のきっかけに変える視点が大切です。

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SES面談ではスキルだけでなく、態度や準備状況の差が結果に影響します。原因を振り返り、希望条件とスキルのバランスを見直せば、次の面談で合格する可能性は高まります。失敗をそのままにせず、改善を積み重ねる姿勢が、長期的なキャリア形成につながるのです。

模擬面談やエージェントとの相談を通じて改善点を整理すれば、回答の精度を高められるはずです。また、新しい案件や働き方を柔軟に検討すると、キャリアの選択肢が広がります。準備を徹底し、面談をキャリアアップのチャンスへと転換しましょう。

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