SESエンジニアとして働くなか、「案件を選べない」という悩みを抱えている人は少なくありません。

「もっと挑戦したい技術があるのに」「自分のスキルが活かせない現場ばかり」といった不満は、モチベーションの低下やキャリアの停滞につながります。案件を選びたいと思っても、それが難しい現状も理解しているかもしれません。

この記事では、なぜSESエンジニアが案件を選べないのかという根本原因から、案件を選べる「引く手あまた」のエンジニアになるための方法、そして案件を選べる会社と選べない会社の違いについて解説します。

SESエンジニアが案件を選べない根本原因とは

SESエンジニアが案件を選べない背景には、個人のスキルだけでなく、所属する会社や業界の構造的な問題が深く関わっています。

エンジニアの「案件を選びたい」という希望と、会社の経営方針や営業体制が噛み合わないことで、多くの不満が生まれているのです。

ここでは、SESエンジニアが案件を選べない主な原因について詳しく見ていきます。

これらの原因を正しく理解することが、状況を改善するための第一歩になります。

営業担当がスキルと希望を理解していない

SES企業において、営業担当者がIT技術やエンジニアのキャリアプランを十分に理解していないことがあります。

そのためエンジニアが「〇〇という技術を学びたい」「〇〇のようなプロジェクトに関わりたい」と伝えても、営業担当者がその意図を汲み取れず、希望に合わない案件ばかりを紹介されてしまうのです。

技術的なミスマッチが起こると、現場でやりたいことができず、不満がたまります。

稼働率・アサイン率重視の経営体制

SES企業の経営において、所属エンジニアがプロジェクトに参画している割合である「稼働率」や「アサイン率」は、会社の収益を左右する重要な指標です。

そのためエンジニア一人ひとりの希望よりも、とにかく稼働率やアサイン率を上げることを優先する会社もあります。

結果として、エンジニアは希望に合わない案件でも受け入れざるを得ない状況に陥ってしまうのです。

そもそも案件数が少ない

営業力の問題などでクライアントとの関係性が弱く、そもそも紹介できる案件の数が少ない会社も存在します。

このような会社では、自社が抱えるエンジニアのスキルや希望にマッチした案件がないため、選択肢が限られてしまいます。

案件数が少ないため、エンジニアは不本意な案件でも受け入れざるを得ず、「案件を選べない」という不満につながってしまうのです。

案件を選べる「引く手あまた」のSESエンジニアになるための3要素

「案件を選びたい」という希望を叶えるためには、自身の市場価値を高め、それを可視化し、キャリアプランを明確にもつことが重要です。

これらの要素がそろうことで、エンジニアは「会社に選んでもらう側」から「自分が案件を選ぶ側」へと立場を変えられます。

ここでは案件を選べるようになるための3つの要素について解説します。

これらの要素を意識して行動することで、自分のキャリアを主体的にコントロールできるようになるでしょう。

1.市場価値の高いスキルを身につける

案件を選べるエンジニアになるには、市場価値の高いスキルを身につけることが不可欠です。

IT業界のトレンド(AI、クラウド、データサイエンスなど)を常に追いかけ、需要が高まっている技術(TypeScript, Go, Rustなど)を習得することが重要です。

スキルを「広く浅く」ではなく「深く尖らせる」ことも大切といえます。

特定の技術領域において誰にも負けない専門性をもつことで、その分野の案件では引く手あまたの状態をつくり出せるでしょう。

そのためには、会社が用意する研修や勉強会だけでなく自主的な学習も欠かせません。

2.ポートフォリオのアウトプットで「できること」を可視化する

どれだけ優れたスキルをもっていたとしても、それが目に見えなければ評価はされません。

ポートフォリオや技術ブログ、OSS(オープンソースソフトウェア)への貢献などを通じて、自分のスキルや経験を対外的にアピールすることが重要です。

実際の成果を見せることで、営業担当者やクライアントは「このエンジニアは何ができるのか」を具体的に把握でき、案件選定の主導権を握りやすくなります。

またキャリアプランを明確に描き、それに沿ったスキルを習得したうえでアウトプットすることで、「このエンジニアは将来を見据えて行動している」という高い評価にもつながります。

3.キャリアプランとスキルツリーを営業側とすり合わせる

案件を選ぶ際はエンジニア自身の努力だけでなく、案件を取ってくる営業担当者の力も必要となります。

そのため目先の案件に流されるのではなく、プロジェクトリーダーや特定の技術のスペシャリストなど将来の目標を見据えて、それにつながる案件を意図的に選ぶことが重要です。

定期的に面談の機会を設け、自分のキャリアプランとスキルツリーを営業担当者とすり合わせましょう。

このプロセスを営業担当者と二人三脚で進めることで、自分のキャリアを会社全体でサポートしてもらえる体制を築けます。

案件を選べる会社と選べない会社の違いとは

SESエンジニアが案件を選べないのは、個人の努力だけでなく、所属する会社がもつ文化や体制にも大きく影響されます。案件を選びたいのであれば、案件を選べる会社を選ぶことが一番の近道です。

ここでは、案件を選べる会社とそうでない会社の違いを具体的に解説します。

これらの違いを理解し、自分のキャリアプランを実現できるパートナーを見つけましょう。

営業担当者がIT技術や業界トレンドに詳しい

案件を選べる会社では、営業担当者がIT技術や業界トレンドに詳しいというケースが多く存在します。

彼らはエンジニアのスキルやキャリアプランを深く理解しているため、エンジニアの希望に合った案件を提示してくれます。

たとえ紹介される案件の数が少なくても、一つひとつの案件がエンジニアの希望に沿っているため、「案件を選べない」と感じることは少ないです。

一方、営業担当者がITに疎い会社では案件情報が不透明であり、エンジニアは一方的に提示された案件を受け入れるしか選択肢がありません。

そのためたとえ複数の案件を案内されたとしても、「これじゃあ選べないよ」と感じてしまいます。

クライアントの数と種類が多い

クライアントの数と種類が豊富にある会社は、エンジニアが案件を選べる可能性が高まります。

大手企業からベンチャー企業まで幅広いクライアントと取引がある会社は、多様な業界・技術領域の案件を豊富にもっています。そのためエンジニアは自身の興味やキャリアプランに合わせて案件を選べるのです。

反対に特定のクライアントや案件に依存している会社は、選択肢が限られます。

案件が少ないと、エンジニアは希望に合わない案件でも受け入れざるを得ない状況に陥ってしまうでしょう。

エンジニアへの評価とサポートが手厚い

エンジニアのスキルや市場価値を正しく評価し、それに見合った案件や報酬を提示できる会社は、案件を選べる可能性が高いといえます。

待機期間中も給与が保証され、次の案件に向けたスキルアップを推奨している会社では、所属するエンジニア全体の能力が高くなります。

そのためクライアント側から「このような案件、あのような案件など、他にもいろいろあるのでぜひ人を紹介してほしい」と要請されるような好循環が生まれます。

一方エンジニアのスキルや市場価値を正しく評価できず市場相場以下の報酬を提示する会社では、案件を選べないケースが増えます。

待機期間中のサポートも手薄で、エンジニアは不安を抱えながら次の案件を待つことになります。そのため会社全体に「待機者を養う」というプレッシャーが生まれ、アサイン率を上げようと案件を選べないという悪循環に陥ってしまうのです。

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