SESエンジニアとして働いている方のなかには、「SESを続けていいのか」と不安を感じている方もいるかもしれません。
給与やキャリアの不透明さ、案件への不満など、そう思う理由はさまざまです。しかしもしかすると、SESエンジニアという働き方そのものが悪いわけではないかもしれません。
優良なSES企業に登録して自分に合った案件にアサインされれば、それらの悩みの多くは解決できる可能性があります。この記事では、SESの優良企業とはどういうものか、そしてそれをどう見極めるべきかを解説します。

優良とされるSES企業がどのような特徴をもっているのか、その根本的な考え方から解説します。
単に高収入であるだけでなく、エンジニアのキャリアと幸福を第一に考える企業こそ、真にエンジニアにとって優良な企業といえるのではないでしょうか。
ここで、どのような企業がエンジニアにとって優良企業といえるのか、具体的に確認していきましょう。
SESは本来エンジニアが主役となるビジネスモデルである
SESというビジネスモデルは、エンジニアの技術力や労働力をクライアントに提供することです。つまり、エンジニアこそが価値を生み出す源泉なのです。
優良企業は、エンジニアを単なる「労働力」ではなく会社のもっとも重要な資産として位置づけています。自社のエンジニアを丁寧に管理し、満足度が高く優秀なエンジニアを確保しておくことがクライアントへのより良いサービス提供につながり、最終的に会社の成長に直結すると理解しているのです。
この好循環を構築しているのが優良SES企業の本質であるといえるでしょう。
しかしこの本質を忘れ、単に人材を派遣するビジネスとして捉えている企業も少なくありません。そのような企業では、エンジニアは駒のように扱われ、不満を抱えやすくなってしまいます。
透明性の高い情報共有と評価体制
SESの優良企業は、クライアントとの契約内容やエンジニアの評価基準を明確にしており、エンジニアにも共有しています。
そうすることでエンジニアは自身の市場価値を理解し、モチベーションを高く保つことができるのです。
給与がどのように決まるのか、どのスキルを身につければ評価が上がるのかが分からなければ、自分のキャリアプランを描くことが難しいといえます。
透明性の高い情報は、エンジニアを大切にしていることの証拠でもあります。
例えば、エンジニアへの還元率を明確にしている企業は、エンジニアとの信頼関係を築こうと努力しているといえるでしょう。
このような会社の姿勢はエンジニアの成長を促し、結果として会社の利益にもつながるのです。

どのような企業がSESの優良企業か、その根本的な考え方は前述のとおり「エンジニアを尊重していること」といえます。
ここでは、そんな優良企業をどうすれば見極められるのか、具体的なチェックポイントをエンジニアのキャリア形成という観点から4つに絞って解説します。
営業メンバーのエンジニアリングに関する知識の深さ
優良企業の営業担当者は、エンジニアリングに関する知識をもち、エンジニアのキャリアを高められるような仕事への理解があります。
すなわち単に案件を売るだけでなく、エンジニアのスキルや希望を深く理解した営業を行っているのです。エンジニアのスキルは、将来性や発展性、将来性などさまざまな要素をもっています。
それに加えて、本当にそれを本人がやりたいことなのかといった希望面も重要といえます。
これらを理解してエンジニアの希望を汲み取るには、営業自身がエンジニアリングに関する知識を有していなければなりません。
少なくとも、エンジニアのスキルについてまったく分からない状態では、エンジニアが満足できる営業活動を行うことはできないでしょう。
営業メンバーに高い営業力と交渉力がある
営業メンバーに高い営業力と交渉力があることも不可欠です。エンジニアの要望をクライアントに伝え、高単価で魅力的かつ働きやすい環境がある案件を獲得できることはエンジニアのスキルアップに必要なことといえるでしょう。
もし要望がすべて通らない場合でも、先方に交渉する力があれば、ある程度は折衷案に落ち着かせることもできるかもしれません。
単に目の前の案件をこなすだけでなく、エンジニアの将来を見据えた案件に参画できるよう、営業担当者がどれだけ親身になってくれるかは重要な判断ポイントです。
エンジニアに案件選択の自由がある
SESの優良企業は、エンジニアが自分のキャリアプランに合わせて案件を選び、また断ることもできる自由度をもっています。
この自由度がなければ、エンジニアは望まない仕事で消耗することになり、スキルアップの方向性も定まらなくなってしまうでしょう。
多くのプロジェクトを経験できるのがSESのメリットの一つですが、そのなかでどのようなスキルを磨きたいかは、自分自身の成長に関わることです。
興味のない案件や、スキルアップにつながらないと感じる案件を断れる環境や雰囲気があることは、エンジニアが主体的にキャリアを築く上で欠かせません。
エンジニアへの還元率が高い
エンジニアが上げた利益が給与としてどれだけ還元されるかは、企業の本質を映し出します。高還元率の企業は、エンジニアの仕事を正当に評価し、高いモチベーションを維持させることができます。
また還元率が高ければ優秀なエンジニアが残りやすく、会社全体の技術レベルを向上させることにもつながります。
結果的に、還元率が高い会社には良い案件が集まりやすくなり、さらに会社としての評価も上がっていくという好循環を生み出します。
自身の給与と案件の単価を比較し、還元率がどれくらいかを知ることは、会社が自分をどう評価しているかを理解するための重要な手がかりになります。

SESの優良企業かどうかを判断するポイントが分かったとして、では実際にどのような場面でどうやって判断を行えばいいのでしょうか。
ここでは、自分が今いる会社や、転職を考えている候補の会社が優良企業かどうかを判断するための方法を解説していきます。
現職でも転職時でも使える具体的な方法をお伝えするので、自分に合った方法を使ってみてください。
現職で確認する方法:社内コミュニティーを活用する
社内のほかのメンバーとのつながりをもち、社内コミュニティーを活用することは自分の会社が優良企業かどうかを判断するための有効な手段です。
- エンジニアたちが常駐先から集合する帰社会
- 業務外チャット
- 交流会や社内サークルなどの社内イベント
- 平時の雑談
上記のようにコミュニケーションの機会は意外に存在するため、それらを積極的に利用するのがおすすめです。
そこでは、自社の他の案件や、自社が保有する案件全体の雰囲気について情報交換をしてみましょう。現在の案件に不満を抱えているとして、自分の案件だけが良くないのか、それとも全社的に良くない傾向があるのかが分かります。
もしほかのメンバーがみな充実した働き方をしているのであれば、自分のスキルや希望に合う案件を相談してみることもできるでしょう。反対に多くのメンバーが同じような不満を抱えているのであれば、転職を検討する良いきっかけになります。
登録時に確認する方法:チェックすべき質問リストを活用
SES企業に登録する場合、面談を質疑応答の場と捉えるのではなく、企業を見極めるための貴重な機会として活用するのがおすすめです。
次のような具体的な質問をすることで、SESの優良企業かどうかを見抜くことができます。
- 「直近でどんな案件があるか、リストを見せてもらえますか?」
- 「提案された案件の辞退は可能ですか?」
- 「還元率はどの程度ですか?」
これらの質問に明確に答えられなかったり答えを濁したりするようであれば、その企業は透明性が低く、優良企業ではない可能性が高くなります。
現職でも登録時でも確認できる方法:口コミサイトやSNSで情報を得る
企業の内部事情を知るために、社員のリアルな声が聞ける口コミサイトやSNSを活用しましょう。
現職の会社であれば、匿名で社員が投稿する掲示板などでほかのメンバーがどのような不満をもち、どう自社を評価をしているかを把握できます。
登録を考えているSES企業についても、インターネット上の口コミサイトやSNSでさまざまな情報を得ることができます。
ただし情報のすべてが正しいとは限りません。情報の信憑性を見極めるための注意も必要です。複数の情報源を参考にしたり、同じような意見が多いかどうかを元に判断し、偏った情報に惑わされないように注意しましょう。

SES企業を選ぶ上で、還元率が重要な指標であることは前述のとおりです。
しかし単に還元率が高いというだけでは、必ずしも年収が高くなるとは限りません。還元率と年収、そして働きやすいサポートにつながるバックオフィスの関係性を正しく理解しておくことで、より納得のいく企業選びができます。
還元率が高いだけでは年収は上がらない
還元率とは、クライアントから支払われる報酬のうち、エンジニアの給与にどれだけ還元されるかを示すものです。
例えば単価100万円の案件で還元率が70%の場合、70万円が給与として支払われます。
しかし、還元率が高いからといって年収が上がるとは限りません。単価自体が低い案件ばかりを担当している場合、還元率が高くても年収は低くなってしまいます。
例えば単価が50万円の案件で還元率が80%の場合、給与は40万円です。一方、単価が100万円の案件で還元率が60%の場合、給与は60万円です。この場合、還元率は低くても高単価な案件を獲得できる企業のほうが年収は高くなります。
高単価な案件を獲得できる営業力×還元率が重要
SESエンジニアの年収を上げるには、「高単価な案件を獲得できるか」が重要です。そのため高い還元率を掲げているだけでなく、会社の営業力がどの程度あるのかを見極めることが大切といえます。
営業担当者がエンジニアのスキルや市場価値を正しく評価し、クライアントと単価交渉をできる能力をもっているかを確認しましょう。
また直請け案件が多い会社は他社の中間マージンが発生しないため、結果的に高単価な案件を獲得しやすくなります。直請け案件の割合についても、登録後の面談時などに確認しておくと良いでしょう。
バックオフィスの充実度も重要
バックオフィスとは、総務などの管理部門のことです。
前述の「70%還元率」の場合、エンジニアに支払われない30%はSES登録企業の収益になりますが、販管費や管理費などに充てられます。
高い還元率を謡っている企業は、そのぶんバックオフィスを含めた管理部門への割り当てが少なくなってしまうのです。
還元率が低ければその分、エンジニアの年収は下がってしまうものの、優良な案件を紹介してもらえたりしっかりと管理してもらえるなどのメリットもあるといえます。
還元率をまとめた公的データはないものの、概ね業界標準は70%あれば比較的高いといえます。それよりも高い還元率である会社は、その分、ほかの会社がかけている何かのコストを削ってエンジニアに還元している、ということを意味しています。
削られた部分が、もしかしたらあなたが求めている要素である可能性もあるのです。
還元率だけを確認して優良企業かどうかを判断するのは早急である点はぜひ覚えておいてください。

SESの優良企業に登録したとしても、それだけでは十分ではありません。
SESの優良企業で働き続けるには、エンジニア自身もスキルアップを継続して活躍することが重要となってきます。ここでは、SESエンジニアが身につけるべきスキルを解説します。
技術力だけでなくコミュニケーション能力を磨く
SESエンジニアとして成功するには、技術力だけでなくコミュニケーション能力が不可欠です。
客先ではクライアントやチームメンバーと円滑に連携しながらプロジェクトを進める必要があります。新しい現場に入るたびに、新しい人間関係を築かなければならないでしょう。
技術的な知識を分かりやすく説明したり、クライアントの要望を正確に聞き出したりする能力はプロジェクトの成功に不可欠です。
コミュニケーション能力が高いエンジニアは、現場でも重宝され、次の案件でも指名される可能性が高くなります。
市場価値を客観的に把握しつづける
自分の市場価値を客観的に把握しつづけることも重要です。
自分のスキルセットが市場でどれくらい評価されているかを知ることで、次に何を学ぶべきか、どのようなキャリアプランを描くべきかが分かります。
そのためには、定期的に転職サイトやフリーランス向けエージェントの求人情報をチェックしたり、技術トレンドを追ったりすることが大切です。
また、登録しているSES企業のなかで市場トレンドに詳しい営業と定期的に連絡をとることも有効な方法です。
自分の市場価値が分かれば会社に給与交渉をしたり、より高単価な案件を求めたりする際の根拠になります。
ビジネス意識をもつ
SESエンジニアとして働く上で、ビジネス意識をもつことも重要です。
自分の仕事がクライアントのビジネスにどのように貢献しているのかを理解することで、より深くプロジェクトに関われるようになります。
ただ指示された作業をこなすだけでなく、クライアントの課題を解決する視点をもつことで的確な提案ができるようになります。
このビジネス意識は、クライアントからの信頼を高め、自分の市場価値を上げることにつながります。提案を求められるようなエンジニアになれれば、現在の案件が終わってしまっても別の案件を紹介されやすくなり、結果的に待機時間を減らすことができるでしょう。
現在の不満を抱えたまま働き続ける必要はありません。エンジニアの希望に寄り添い、成長を支援してくれる「SESの優良企業」は必ず存在します。
自分のエンジニア人生をより良くするために、主体的に行動することが大切です。この記事で得た知識を武器に、ぜひ理想のキャリアを築けるSES企業への登録に踏み出してみましょう。
もしどのような企業がいいのか迷っているなら、ぜひKAIZEN Tech Agentへご連絡ください。
私たちKAIZEN Tech AgentもSES企業としてエンジニアのみなさんと一緒に仕事をしており、エンジニアの成長に寄り添った案件紹介を行い、みなさんと一緒に成長していく会社です。
私たちはあなたのキャリアを何よりも大切に考え、納得のいく現場で働けるよう全力でサポートします。
SESの優良企業を探しているなら、候補としてぜひ検討してみてください。
